言葉で人をつなぎ、道で未来をつなぐ――。異業種から挑んだインフラディレクターの道

INTERVIEW_PART3

鈴木さん

0.プロフィール

私は青山学院大学法学部を卒業後、放送作家としてテレビ番組やイベント企画に携わっておりました。父の土木会社にも籍を置き、二足のわらじ生活を送る中で現場管理の世界に足を踏み入れました。趣味はラジオを聴くことで、 色んなラジオ番組にメールを送っています。

1.インフラディレクターになろうと思ったきっかけは?

放送作家の仕事は刺激的で面白かったですが、「自分の作ったものが形として残る仕事をしてみたい」という想いが次第に強くなっていきました。そんなとき、父の会社で手伝った現場で、職人さんたちの息の合った作業や完成した道路の美しさに心を打たれました。加えて、テレビ業界で培ったコミュニケーション能力や交渉力が、 土木の現場でも役に立つと気づき、「自分ならこの世界でもやれる」と思い、未経験ながら挑戦を決意しました。

2.インフラディレクターとして働いてみて、どんなやりがいを感じますか?

インフラディレクターは「人・時間・予算・安全」を同時に管理する、まるで指揮者のような存在です。初めて主導した舗装工事が完成し、地域の方々から「きれいになって嬉しい」と感謝されたときは、テレビでラジオの仕事をした時とは異なる“手触りある達成感”を得ることができました。職人さんや、行政、近隣住民の方々といった多くの関係者が関わる中、全員が気持ちよく終われる現場づくりにやりがいを感じます。現場をまとめる責任感と、人と人をつなげる面白さが、この仕事の最大の魅力だと感じています。

3.インフラディレクターの仕事で大変だったことや苦労したことは?それをどう乗り越えましたか?

最初は専門用語も工具の名前も分からず、現場ごとに進め方が違うことにも戸惑いました。克服のため、作業後に道具や図面で不明だった部分を勉強し、分からないことはその場で素直に質問しました。放送作家時代に身につけた“人に嫌われない聞き方”が功を奏し、 土木工事の知識を得るだけでなく、 職人さんなどが優しく接してくれました。 失敗や叱責もありましたが、それも経験の一つと前向きに受け止め、一歩ずつ成長。今では若手に「分からないことは聞いていい」と思ってもらえる存在を目指しています。

4.インフラディレクターになって「よかった」と思う瞬間は?

現場の工事が無事に完了し、 現場の関係者の皆様や役所の担当者さんから 「丁寧で助かりました」 「やりやすかったです」と言われたときは、素直に嬉しかったです。また、工事後の歩道で子どもたちが元気に遊んでいるのを見たときや車がスムーズに走っているのを見た瞬間は、「自分の仕事が日常に溶け込んでいる」と実感することができました。放送作家時代は形のない面白さを追ってきましたが、今は形として残る安心をつくれることに大きな誇りを感じています。

5.これからインフラディレクターを目指す人へのメッセージをお願いします。

この仕事は派手さこそありませんが、気づけば街のあちこちに“自分の足跡”が残ります。40 代からでも、異業種からでも全然遅くありません。最初は分からないことだらけですが、堂々と聞けば案外みんな優しいものです。迷っているなら、まずは安全靴を履いて一歩踏み出してみましょう。足元から人生が変わるかもしれません。

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